~夏の思い出~ 君に、初恋。【完結】
初めてのプレゼントは、妃に。
それから、三日後。
妃になんとか理由をつけて俺は一人で例の着物屋に来た。
「…こんちわー……」
「へい、いらっしゃい!…って、お、あんときの兄ちゃんじゃねえか!」
へい、って。
魚屋みたいだな。
「浴衣、買いにきたんか?」
「はい。まだ、ありますよね?」
「おうおう、あるある。」
カタカタと下駄を鳴らしながら、滑らかな動きで店の奥へと歩いていった。
俺はそれに、ついていく。