LITTLE
翌日、昨日の一件もあってか、ママを除いて私達は、朝からどことなく気まずかった。
家を出る時も、登校中も、学校でも、何となく距離を置いていた。
まあ、学校ではあまり麗太君とは話したりしないし、そもそも男子と二人っきりのところを皆に見られたら、からかわれる事間違いなしだ。
「優子、今日は何か変だよ」
 マミちゃんに、直々そう言われた。
 私は、いつも通りにしているつもりなのだけれど……。

 昼休み、今日一日の半分、頭から麗太君の事が離れなかった。
 やはり昨日の一件のせいだ。
 もう、思い出すと頬が熱くなってくる。
頭を抱えて机に突っ伏していると、マミちゃんが心配そうに声を掛けてくれた。
「優子、今日やっぱり何か変だよ。熱でも出たんじゃないの?」
「そんな事ないよ。私は大丈夫……たぶん」
「たぶんって……ほら、おでこ出して」
 額にマミちゃんの手が添えられる。
「うーん、熱はないみたいだけど……給食もあんまり食べてなかったでしょ?」
「……うん」
「何かあった?」
「……」
 黙ってしまった私に、マミちゃんは小声で聞いた。
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