LITTLE
 さっきから私達の遣り取りを見ていたのだろうか。
「聞いた分だと、優子ちゃんは麗太君のせいで、食欲がなくて、頬が火照って、他の事に手が付けられないって状況なんでしょ?」
 大まかな話では当たっているけれど、何か妙な勘違いをされている気がする。
「つまり恋なんでしょ?!」
 由美ちゃんの目はいつになく輝いている。
「はぁ?!」
 私より先に、マミちゃんが言葉を発した。
「そんな、このクラスの男子なんて……しかも沙耶原?! 優子が沙耶原を好きになる訳ないでしょ! 絶対にない!」
 私の意見を聞く事なく全否定するマミちゃんに、由美ちゃんは挑発的に言葉を返す。
「分からないよぉ? 沙耶原君、あんな癒し系なくせにサッカー上手くて格好良いし。それにほら、喋れないし……。そういうところって、女の子からしたら母性本能擽られるものなんじゃないのかな?」
「知らない! あんな、なよなよした奴。そうでしょ?! 優子?!」
「え、私?!」
 急に話を振られて、言葉に詰まってしまった。
 まあ、他人事ではないのだけれど。
「優子ちゃん、ぶっちゃけどうなの? 沙耶原君の事どう思ってるの?」
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