LITTLE
 確かに由美ちゃんの言う通り、麗太君は格好良い、というよりは癒し系で優しいし、悪い個所を見つける方が難しい位だ。
 でも私にとっての麗太君は、今や家族も同然で、それ以上の関係なんて想像も付かない。
 しかし、なぜだろう。
 昨日の一件のせいかもしれないが、麗太君を見る度に変に意識してしまう。
 麗太君と一緒に住み始める前は、こんな事なんて全くなかったのに。
「もしかしたら……由美ちゃんの言う通りかもしれない……」
 私は小さく呟いた。
「本当?! じゃあ、ちょっくら行って来ますわ!」
 今にも走り出そうとしていた由美ちゃんを、マミちゃんが袖を引っ張って止める。
「ちょっと、どこへ行く気?」
「麗太君を呼んでくるに決まってるじゃん!」
「呼んで来てどうするつもり?」
「優子ちゃんの想いの丈を打ち明ける!」
 次の瞬間、袖を掴んでいたマミちゃんの手は、斜め四十五度からのチョップとなり、由美ちゃんの頭に直撃していた。
「馬鹿じゃないの! そんな事して、困るのは優子なんだよ! 分からない?!」
 説教をするマミちゃんを前に、由美ちゃんは叩かれた所を摩りながらぺこぺこと頭を下げる。
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