LITTLE
「いやぁ、伝える事があるのなら早い方が良いかと。てか、地味に痛い」
「それじゃあ駄目なんだよ! ちゃんと順を追わなきゃ! ていうか、そもそも馬鹿なのは優子だよ!」
「え、私?」
「あんな、なよっちい奴のどこが良いわけ?」
 マミちゃんは、いつになく真剣だ。
 なら、私もしっかりと自分の想う麗太君の事を話さなくちゃ!
「麗太君は……少し前にママを亡くして、声も出せなくなっちゃって、落ち込んでた時もあった」
 あの日、麗太君が私の家に来た日、私が彼の支えになってあげると決めたんだ。
「落ち込んでいても、しっかりと立ち直って、ちゃんと学校にも来てる」
 日常生活に言葉を発せない障害があっても、麗太君はしっかりと学校へ来て、昼休みには今まで通り、元気に外でサッカーをしている。
 そんな麗太君を日々、私は本当に凄いと思っている。
 凄いと思っているだけ。
 別に恋人とか、そういう意味での好きではなくて……。
 どうしてだろう、内心では否定しているのに、麗太君に対する想いが溢れて来る。
「私は……そんな麗太君が……」
 無意識のうちに、言ってしまいそうな言葉があった。
 次の瞬間、頭がくらくらして、視界がぼやけた。
 体中が熱くて、頬もかなり火照っている。
 まるで風邪を引いた時に熱が出る様な感覚だ。
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