LITTLE
暫くすると、保険医の先生が藤原先生を連れて戻って来た。
「優子ちゃん。大丈夫? まだ熱あるんでしょ?」
「はい。でも大分、良くなりましたから」
「そう、良かった。もう暫くしたら、ママが迎えに来るからね」
藤原先生は、机を挟んで私の向かいに座った。
「優子ちゃん、ちゃんと後でお礼言っておくのよ」
「え? 誰にですか?」
「麗太君に決まってるじゃない」
麗太君?
何かしてもらったっけ?
「あなたをここまで運んだの、麗太君よ」
「え?!」
私は麗太君におんぶされていたのか。
恥ずかしくて頬が熱くなってきた。
熱が上がりそうだ。
「あと、マミちゃんにもね」
「マミちゃん?」
「そうよ。あなたが寝ている間に、ここまで荷物を持って来てくれたんだから」
二人には、迷惑掛けちゃったかな。
あと由美ちゃんにも。
「後で、皆に言っておきます」
「そうしておきなさい。それにしても麗太君、格好良かったみたいよ。皆の前で躊躇いもなく優子ちゃんをおんぶして運んだんだから」
「へぇ、あの麗太君が」
藤原先生は、笑みを浮かべて私を見る。
「麗太君って、もしかして優子ちゃんの事、好きだったりしてね」