LITTLE
 でも私は、もういつからか分からないけれど、それ以上の関係を彼に対して望む様になっていた。
「でもね、私は……それだけで終わりたくはないって思ってる」
 麗太君と過ごして来た今日までの短い日々、それを胸に焼き付けて、今こそ言おう。
「私……麗太君の事、友達や家族としてじゃなくて、それ以上の意味で好きになっちゃったの! 裸を見られたからとかじゃなくて……本当に!」 
 私は麗太君の事が好き。
 好きで堪らない。
 もう、言わずにはいられなかったのだ。
 顔を真赤にして、私は俯いた。
 麗太君、私の事どう思ったかな。
 もしかして……退いちゃったかな……。
 幾つもの不安が込み上げて来る。
 でも次の瞬間には、赤面して火照った私の頬に、麗太君の手が添えられていた。
 そのまま抱き合ってしまいそうな位に、彼との距離が縮まる。
 頬に当てられた手は、冷たくて気持ちが良い。
「麗太君……私……」
 今、こういう時、私は麗太君に何と言えば良いのだろう。
 全く、言葉が浮かばない。
 それでも、彼が好きだという事は変わらない。
 この事だけは、麗太君に分かってもらいたい。
 抱き合ってしまいそうな位の距離を更に縮め、私達はお互いに唇を重ねた。
 私が幼い頃に交わした、ママやパパとの経験を除けばファーストキス。
 まさか、こんなに早く時が来るとは思ってもいなかった。
 ちょっと前まで麗太君の事は、ただのクラスメイト程度にしか思っていなかったのに、それが今では……こんなに愛おしいなんて……。
 お互いに唇を離した後も、私達は何度かキスを繰り返した。
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