歩く光の彼方には。
古賀いのりという少女は身体能力が高い。それゆえ、彼女はチームプレーが出来ない、もっと周りを見ろと何度も主将に言われ続けていた。無論、彼女に直そうという意識も自覚もなかったからこその、先程の発言なのだが。

「主将、喉乾きません?良ければ買ってきますよ」

「いのり~!あんたはそうやってまた逃げようとして…」

「まあまあ、主将だって移動やら応援やらで疲れてるでしょう?」


いのりの笑顔に気圧されて、主将は根負けしてため息をついた。


「アクエリアス」

「分かりましたー!」


言われるなり風のような速さで駆け抜ける。

主将はそんな跳ねっ返りの少女の背を見送って、長いため息の後薄く微笑んだ。
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