トイレ

激震

カチャリンと音をたて、僕は気を落ち着かせながら、もとの通った道を足早に戻った。

ふと横目で鏡に写るもう一人の自分を見つけたが、その顔は困惑と羞恥に満ちていた。


ほどなくして、震える足でちり紙自販機の前に立ち、ここまでの道のりにふける暇もなく財布に手を伸ばした。

と、取れない!

財布がポケットに引っ掛かっていたが悪戦苦闘の末、無理やり引っ張り出した。

俺はこんなところで止まってる訳にはいかないんだ!

冷や汗が額から頬へと流れ落ちたがそんな事は気にせず100円を取り出し、慎重に小銭入れに押し込んだ。

次の瞬間、ガチャガチャのレバーのようなつまみを、未だかつてない程の速さで高速スピンさせ、それが落ちるのを待ち兼ねた。

今待ちわびた瞬間が訪れた。

持つべきモノは手に入れた!

僕はすでに入口の方向へ足を向け突き進んでいた。 
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