君が欲しい

目の前に居た中年のおじさんが、唸りながら複雑な表情で開いていた手帳を閉じる。

「記憶が無いんじゃあ、聞きようが無いからなぁ」

おじさんは立ち上がり、軽く頭を下げた。

「また来るとします」

「…?あぁ、はい」

病室を出ていくおじさんを、ぼうっと眺めていた。

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