聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
「………僕にとっては、八年ぶりくらいになるけど」



「………俺は、六年だ。―――たった一度しか言葉を交わしていないがな」



「大丈夫。とても記憶力の良い方だから」



「………なら、いい」



 ふっと笑み零した友人にふわりと笑い返し、青年は座る。



「それで? 此処に来たのは、それだけのことかい?」



「……あぁ、察しはついていたか」



 友人は壁に寄りかかったまま、静かに告げてくる。



「……ナギ様が、流刑になった」



「――――なんだって?」



 顔色を変えた青年に、友人は深く頷く。
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