聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
 そのとき、物凄く聞き覚えのある声が届いた。



「あ、サリアじゃん! 今年はセカンド昇格できるんだ―――あれ? フィニ?」



 走りよってきたヴォルが、目を丸くしてサリアの傍らにいたフィニアを凝視する。その後を、同じサードであるフェイトが追いかけてくる。



 その彼も当然フィニアの顔を見て唖然とし、半ば呆然といった体でフィニアに声を掛けた。



「………フィニア、どうしたの? 前回フォース昇格したのだから今回は出ないはずじゃ……」



「気が変わったの。………何か文句でも?」



「い、いや……それはないんだけれど」



 戸惑うフェイトの声に、ヴォルがきらきらした顔で笑う。



「ってことはさ! 今回はみんな揃って昇格出来るかもなっ」



「うん。頑張ろうねっ」



「おうよっ」



「…………盛り上がっているところ、悪いのだけれど」



 フィニアが、指を指して示した場所に。



「……はじまるわよ」



 集まっている生徒たちを見つけ、慌てて駆け出した―――…。
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