聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
「だあああぁぁぁっ! なんだよこの問題はぁっ!」
「ヴォル、落ち着いて」
指先に魔力を集め、壁に書かれた問題に対する答えを魔力のこもった文字で記入する。すると、道が開いて先に進める。
サードの知識の試験は、ペアで組んで教師たちが拵えた迷路の中にはいり、協力して百題の問題を解きながら前へと進んでいくという極めてシンプルではあるが、体力とパートナーとどれだけ協力しあえるかが同時に試されるものだ。
魔法使いは基本後方支援系のタイプが多い。故に単独での行動はほぼない。
そのために、サードの知識の試験では、他者とどれだけ協力できるかという協調性も同時に試される。どちらかが自分を優先すれば、その時点で失格同然となる。
前回は自己中心的なことしか考えなかったパートナーと組んで落ちてしまったフェイトは、今回はセカンドから前回上がってきた友人のヴォルと組んだのでおそらく大丈夫だろうと思っている。彼は普段ふざけているように見えるが、実際ひとのことを気に掛けるような気遣いの出来る人物だ。そんな心配をする必要は一切ない。
「ヴォル、それ違うよ!」
「嘘っ」
蒼白になったヴォルの襟元を掴んで引き寄せる。彼のいた場所に、火球が飛んでくる。
――― 問題を間違うとオシオキとして何らかの魔法が飛んでくる。
前回不合格となったときにそれを学んだフェイトは、ヴォルをなんとか回避させて安堵の息をつく。対するヴォルは―――…
「ヴォル、落ち着いて」
指先に魔力を集め、壁に書かれた問題に対する答えを魔力のこもった文字で記入する。すると、道が開いて先に進める。
サードの知識の試験は、ペアで組んで教師たちが拵えた迷路の中にはいり、協力して百題の問題を解きながら前へと進んでいくという極めてシンプルではあるが、体力とパートナーとどれだけ協力しあえるかが同時に試されるものだ。
魔法使いは基本後方支援系のタイプが多い。故に単独での行動はほぼない。
そのために、サードの知識の試験では、他者とどれだけ協力できるかという協調性も同時に試される。どちらかが自分を優先すれば、その時点で失格同然となる。
前回は自己中心的なことしか考えなかったパートナーと組んで落ちてしまったフェイトは、今回はセカンドから前回上がってきた友人のヴォルと組んだのでおそらく大丈夫だろうと思っている。彼は普段ふざけているように見えるが、実際ひとのことを気に掛けるような気遣いの出来る人物だ。そんな心配をする必要は一切ない。
「ヴォル、それ違うよ!」
「嘘っ」
蒼白になったヴォルの襟元を掴んで引き寄せる。彼のいた場所に、火球が飛んでくる。
――― 問題を間違うとオシオキとして何らかの魔法が飛んでくる。
前回不合格となったときにそれを学んだフェイトは、ヴォルをなんとか回避させて安堵の息をつく。対するヴォルは―――…