聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲～overture～

「いやいやおかしいだろ？！　なんで知識の試験で実技っぽいことするんだよ！」



　真っ青になって叫ぶヴォルに、苦笑しながらフェイトが説明する。



「……突然襲ってくる魔法に対してどういう判断を下すかっていうとっさの危機的対応力も加わってるって名目だけど、生徒たちの間では授業で教えたのに忘れていることに対しての教師たちのお怒りの鉄槌だとかって話だよ」



「死ぬ！　絶対死ぬっ！　何考えてんだあの教師どもおおぉぉぉっ！！！」



　馬鹿じゃねぇのか？！　などとわめき散らすヴォルをなんとか宥めながら、先へ進もうとフェイトは促す。



「時間制限はあるけれどヴォルがここまで頑張ってくれたから問題は後半分もないし。答えに自信がなかったら僕に聞いてくれればいいよ。協力するということがこのサードの試験では重要な鍵を握ってるんだし」



「お、おぉ……ありがとな、フェイト…」



　この先の問題の答えを正確に書けるかどうか、早くもこの一因が原因で不安になったとはいえないヴォルは、先程の我武者羅に走っていた時よりは慎重に先を進み始めた―――…。