聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
「………まだまだゴールには程遠いわね」



 フォースの試験。



 それは、サードのように協力し合うものではなく、万が一単独になった時の対処能力を試しながらの問題解答となる。



 サード担当の教師たちが生み出した迷路とは違い、舞台は学園を囲むように広がる大自然―――森の中に問題と罠を仕掛けておき、野生味溢れる大地にての動物たちなどと遭遇する危険もありすぎる命懸けの昇格試験となる。



 ゆえにこのフォース試験のみ、他二科目の魔力、実技も同時並行で試されるような試験となっており、その分リスクはサードより格段にあがる。



「……そろそろ技術か魔力試験を受けても良さそうな頃だけど―――っ?!」



 既に脱落者が出ている中を走り抜けてきたフィニアは、前方からの気配に気づいて、風の元素を操って宙へと身を躍らせる。



 刹那、風を切るようにフィニアの真下を一本の矢が駆け抜けていく。



「トラップ?!」



 着地すると同時、矢が放たれた方向を睨みつけたフィニアの眼前に、現れたのは―――…。



「……運が悪かった、と片付けたくないわね、まったく」



 面倒くさいことになった、と思いながらも眼前に立つものをねめつける。
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