聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲～overture～

　ファーストの技術の試験はきわめて単純だがやり直しの効かないものとなっている。


　ファーストの試験官たちが生徒がそれぞれ保有する属性の弱点となる魔力の籠もったアイテムを使用して攻撃を仕掛けてくる。それに対処しながら、教師に一撃でも当てた時点で終了。―――合格となる。


　また、教師にもハンデとして片手しか使ってはならないという文句を言われているので、教師が無意識にでも両手を使ってしまえばその時点でも合格と見なされる。


　シンプルではあるが、実力のある大人相手に喧嘩を売るようなものだし、何より時間制限も設けられている。最初から全力で掛からなければ、まず勝てる相手ではないことは重々承知だ。


　そして試験官となる教師は毎年替わり、当然実力を試すために相対する教師も年毎に違う。ゆえに強い試験官が集まるときもあるし、逆の場合もある。


　――――今回に限っては、おそらく前者だろうとサリアは居並ぶ試験官を見つめる。