聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
「………どうしましょうか」
試験を諦めるか、このまま続行するか。
試験を続行するのは、魔力の回復具合から見てもほぼ不可能に近い。再度戦闘することになった場合、再び離脱するための魔力を、もう一度使えるかも危うい。
―――ならば、諦めるとしたら?
もし諦めるのなら、救援を頼むか、自力で帰還するか。
自力で戻りさえすれば、試験を受けている最中の不測の事態に対処しながら帰還できたこととなり、情状酌量の余地は生まれて、暫くの休息をとった後の再度の受験は望めるかもしれない。確か、以前も似たような先例があったはずだ。
救援を呼べば、教師たちが駆けつけてきてくれるだろうが、自力で対処出来なかったと判断され、再度の受験は確実に望めない。―――――迷いは、一瞬。
「―――風よ」
再び浮遊術を唱えて周囲にあった木の中で最も高そうな木の上の頂点まで体を浮上させる。風で体を支えながら、樹の幹の上でフィニアは視線を巡らせた。
「………見つけた」
学園に向けて、直線距離の飛行を再度実行するため、フィニアは詠唱を開始する。
木の幹を蹴り、魔力を爆発させ、体を風に委ね。
そうしてたどり着いた学園では、フィニアの予想を遥かに超える、フォース試験を受けた生徒たちの悲惨な姿が広がっていた―――…。
試験を諦めるか、このまま続行するか。
試験を続行するのは、魔力の回復具合から見てもほぼ不可能に近い。再度戦闘することになった場合、再び離脱するための魔力を、もう一度使えるかも危うい。
―――ならば、諦めるとしたら?
もし諦めるのなら、救援を頼むか、自力で帰還するか。
自力で戻りさえすれば、試験を受けている最中の不測の事態に対処しながら帰還できたこととなり、情状酌量の余地は生まれて、暫くの休息をとった後の再度の受験は望めるかもしれない。確か、以前も似たような先例があったはずだ。
救援を呼べば、教師たちが駆けつけてきてくれるだろうが、自力で対処出来なかったと判断され、再度の受験は確実に望めない。―――――迷いは、一瞬。
「―――風よ」
再び浮遊術を唱えて周囲にあった木の中で最も高そうな木の上の頂点まで体を浮上させる。風で体を支えながら、樹の幹の上でフィニアは視線を巡らせた。
「………見つけた」
学園に向けて、直線距離の飛行を再度実行するため、フィニアは詠唱を開始する。
木の幹を蹴り、魔力を爆発させ、体を風に委ね。
そうしてたどり着いた学園では、フィニアの予想を遥かに超える、フォース試験を受けた生徒たちの悲惨な姿が広がっていた―――…。