聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
「………俺は、それを知ったことで使えなかった魔法を操れるようになったひとを知っている。―――多属性を操れるという事実を知ったからこそ、自分の力を見つめなおして使えるようになった、な」
つまりは、こういうことだ。
自分の内に眠る属性はひとつとは限らない人間は、その内に眠る力すべてがどんなものなのか、すべて把握していなければ、魔法を操ることなど夢のまた夢―――…。
思わず自らの掌に視線を落とす。―――自分の中に、『光』以外の………属性、が?
「そんなこと、あるはず、ない」
自分の想像を遥かに凌駕する原因に、自分があてはまるとはとても思えない。
「………最初から否定をしたところで、可能性をひとつ潰すだけだ。なら、試してみる他にない」
「……でも、どうやって?」
「………ルーナと繋がっている輝石の他に、持っているものはないのか?」
「………セレナイトの、他に?」
考え込むように俯いて数秒、サリアは呟く。
「あるには、あるけれど……」
「なら、それを持って来い」
急かされて渋々立ち上がったサリアの顔色はどこか優れず、足取りもどこか重いのを見て輝石ごときで何故あそこまで嫌そうなのかとアルジスは疑問に思った。
やがて、引き出しからひとつのケースを取り出すと、サリアは慎重にこちらへと戻ってくる。
そうして、そのケースをそっと開けたサリアがそっとケースをアルジスがのぞき込み、思わず目を瞠った。
つまりは、こういうことだ。
自分の内に眠る属性はひとつとは限らない人間は、その内に眠る力すべてがどんなものなのか、すべて把握していなければ、魔法を操ることなど夢のまた夢―――…。
思わず自らの掌に視線を落とす。―――自分の中に、『光』以外の………属性、が?
「そんなこと、あるはず、ない」
自分の想像を遥かに凌駕する原因に、自分があてはまるとはとても思えない。
「………最初から否定をしたところで、可能性をひとつ潰すだけだ。なら、試してみる他にない」
「……でも、どうやって?」
「………ルーナと繋がっている輝石の他に、持っているものはないのか?」
「………セレナイトの、他に?」
考え込むように俯いて数秒、サリアは呟く。
「あるには、あるけれど……」
「なら、それを持って来い」
急かされて渋々立ち上がったサリアの顔色はどこか優れず、足取りもどこか重いのを見て輝石ごときで何故あそこまで嫌そうなのかとアルジスは疑問に思った。
やがて、引き出しからひとつのケースを取り出すと、サリアは慎重にこちらへと戻ってくる。
そうして、そのケースをそっと開けたサリアがそっとケースをアルジスがのぞき込み、思わず目を瞠った。