聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
「―――輝石に宿る、万物の力よ」


「き、輝石に宿る―――」


 たどたどしく、サリアの言葉が続く。


「我は、大いなる力を解放し、孵化することを願わん」


 ゆっくりと、しかし確実に復唱されていく言葉に、一瞬呼応するように掌に乗り切るだけ乗っていた、いくつかの輝石が輝き始める。


 息を詰めたサリアに、アルジスは視線を寄越して冷静になれと伝えると、サリアは何度か頷いて、瞳を閉じてアルジスの紡ぐ言葉を聞き逃すまいと聴覚のみに神経を集中させた。


「命は巡り、やがて還る。その輪廻に、我が御名を以て新たなる命を我が手に落とせ」


「我が名はサリア、万物の力を求むる者なり―――」


 すべてを言い切った途端、瞼を閉じて橙色に染まる視界が複数の色で彩られた―――…。
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