聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
11の時に魔法学院へと入学し、魔法を習い始めたサリアは四季に加え雨季の季節が巡る一年に三度行われるその試験に何度も挑んできた。
この学院では第一学年(ファースト)、第二学年(セカンド)、第三学年(サード)、第四学年(フォース)、第五学年(フィフス)の計五学年があり、年に三度行われる学年昇格試験によって知識、技術、授業中の態度などの評価も加点されて評価され、上の学年へと昇格することを許される。
その徹底ぶりはあからさまなほどで、魔法を学びたくてやってきた生徒も、やがて挫折し実家へ戻っていくのもしばしば見かけるほどであり、サリアもこれまでに何度も挫折しかけた。
それでもなんとかやってこれたのは、セレナイトに触っただけでルーナが生まれたという事実があるからだ。それがなければ今頃、自分には素養が一切ないのかもしれないなどと挫折していたことだろう。もう、同期の殆どがすでにセカンド以上で、ファーストにとどまり続けているのはほんの一握りなのだから。
「……昔には13歳でフィフスの難関を潜った人がいたのに…」
驚異的なその記録は、驚くべきことに今だ誰にも敗れていない。当然かもしれないが。
「………足元にも及ばない…」
別格と比べたところで比較にならないというのに、思わず自分と重ねてしまって更に落ち込む。………負の連鎖だ、しかもかなり面倒な。
どうしようか、と思っていたとき、ずっと黙り込んでいたアルジスがふと顔を上げた。
「…………サリア」
「え……何?」
首を傾げたサリアに淡く笑みかけ、アルジスは尋ねてくる。
「……魔法院の中には、図書館はどのあたりに位置しているか分かるか?」
「図書館? 確か、西の棟の方だけど……それが何か?」
「今夜あたり、忍び込もうと思ってな」
――― 一瞬、思考が停止する。
この学院では第一学年(ファースト)、第二学年(セカンド)、第三学年(サード)、第四学年(フォース)、第五学年(フィフス)の計五学年があり、年に三度行われる学年昇格試験によって知識、技術、授業中の態度などの評価も加点されて評価され、上の学年へと昇格することを許される。
その徹底ぶりはあからさまなほどで、魔法を学びたくてやってきた生徒も、やがて挫折し実家へ戻っていくのもしばしば見かけるほどであり、サリアもこれまでに何度も挫折しかけた。
それでもなんとかやってこれたのは、セレナイトに触っただけでルーナが生まれたという事実があるからだ。それがなければ今頃、自分には素養が一切ないのかもしれないなどと挫折していたことだろう。もう、同期の殆どがすでにセカンド以上で、ファーストにとどまり続けているのはほんの一握りなのだから。
「……昔には13歳でフィフスの難関を潜った人がいたのに…」
驚異的なその記録は、驚くべきことに今だ誰にも敗れていない。当然かもしれないが。
「………足元にも及ばない…」
別格と比べたところで比較にならないというのに、思わず自分と重ねてしまって更に落ち込む。………負の連鎖だ、しかもかなり面倒な。
どうしようか、と思っていたとき、ずっと黙り込んでいたアルジスがふと顔を上げた。
「…………サリア」
「え……何?」
首を傾げたサリアに淡く笑みかけ、アルジスは尋ねてくる。
「……魔法院の中には、図書館はどのあたりに位置しているか分かるか?」
「図書館? 確か、西の棟の方だけど……それが何か?」
「今夜あたり、忍び込もうと思ってな」
――― 一瞬、思考が停止する。