聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
 若々しい緑の葉を思わせる、自身の瞳と同じ色―――ペリドットの石から生まれた、『緑属性(ルート)』の輝石。


 豊穣の意味を持つ茶色―――純粋な鉱物に松の樹脂が入り込んだアンバーの石から生まれ出た、母なる大地を操る輝石……すなわち、『地属性(ソイル)』のもの。


 大空を象徴とするような美しい水色をしたターコイズから生み出された三つ目の輝石は、紛れもない『風属性(ヴェントゥス)』を操れることを示していて。


 水底を表すような、深い青―――ラピスラズリからこぼれ落ちた新たな生命の息吹は、『水属性(カレント)』を表したまま、その力を石の中に封じ込めている。


 元から持っている属性と知れていた光属性(ブレイズ)に続け、生まれでたそれら四つの輝石を見て、アルジスはそれら五つの種の属性を持った魔法使いのことは文献になかったと言いながらも、サリアの属性を『生命(ウィータ)』と名付けた。


 世界に生きる植物や動物といったものに、生きるために必要不可欠な恵みを与える属性ばかりだから―――と。


 
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