聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
 それら四つの輝石がどのような動物の姿を象った使い魔になるのかはわからない。だが、間違いなく彼女が複数属性を持つプロヴァスであることを示していた。


 それでも、タイプが合わない限り魔法は使えない。だから、アルジスは最終手段として、図書館へと赴くことを決めたのだ。―――この小さな寮の部屋から出れば、自分のことがサリア以外に知れるかもしれないという可能性を理解していながら。


「………どうして、そこまでしてくれるの?」


「……借りを、作りたくないから。さっきも、言ったと思うが」


 本当にそれだけで協力してくれるのなら、彼は随分お人好しな性格なのだろうと思った。自分は、属性が複数であることが分かっただけでも充分協力してくれたと思っているというのに。


 そんなことを思いながらも、結局彼の知識に頼らなければ自分がプロヴァスであることすらわからなかったサリアは、彼の厚意に甘えるように、深夜を待って図書館へ共に赴くことを決意したのである。
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