聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
アルジスの傍を離れないよう慎重に歩きながら、サリアは前を見据える。
冷や汗が額から頬へ、頬から顎へと垂れ落ちる。強ばる身体に鞭打って、足を踏み出す。
そうして、着いたサードの本を数冊手にとって、やはり期待したものがないのかフォースへと足を向けるアルジスに着いていく。
それを繰り返して、とうとうフィフスに許された場所へとたどり着き―――。
「………見つけた」
洋燈(ランプ)を手に、目を細めたアルジスの手元を、サリアは背伸びしてのぞき込んだ。
「魔導機師(マギテック)、操霊術師(コンジャラー)…時空操術師(トランスポーター)は、禁術師のことだから違うな。………サリア?」
唸るアルジスの手元に書かれた書物から、まだ試したことのないタイプの名を挙げる彼の言葉は耳に入らなかった。
サリアが覗き込んで目を奪われた記述は、たった数行。けれど、それ以外のどこにも鼓動が早鐘を打つような高揚感を覚えなかった。
「………元素の音を歌として組み上げ、魔法を行使する神の愛し子……」
「え……サリア、それは…」
ぼんやりとした表情で呟かれた言葉に、アルジスの目がゆっくりと見開かれる。
「……音……世界に散らばる、元素の音」
音が洪水のように溢れる世界。―――元素が溢れた世界。
『―――――そう、聞こえるでしょう?』
どこからか、声が聞こえた。―――優しくて、あたたかな声が。
冷や汗が額から頬へ、頬から顎へと垂れ落ちる。強ばる身体に鞭打って、足を踏み出す。
そうして、着いたサードの本を数冊手にとって、やはり期待したものがないのかフォースへと足を向けるアルジスに着いていく。
それを繰り返して、とうとうフィフスに許された場所へとたどり着き―――。
「………見つけた」
洋燈(ランプ)を手に、目を細めたアルジスの手元を、サリアは背伸びしてのぞき込んだ。
「魔導機師(マギテック)、操霊術師(コンジャラー)…時空操術師(トランスポーター)は、禁術師のことだから違うな。………サリア?」
唸るアルジスの手元に書かれた書物から、まだ試したことのないタイプの名を挙げる彼の言葉は耳に入らなかった。
サリアが覗き込んで目を奪われた記述は、たった数行。けれど、それ以外のどこにも鼓動が早鐘を打つような高揚感を覚えなかった。
「………元素の音を歌として組み上げ、魔法を行使する神の愛し子……」
「え……サリア、それは…」
ぼんやりとした表情で呟かれた言葉に、アルジスの目がゆっくりと見開かれる。
「……音……世界に散らばる、元素の音」
音が洪水のように溢れる世界。―――元素が溢れた世界。
『―――――そう、聞こえるでしょう?』
どこからか、声が聞こえた。―――優しくて、あたたかな声が。