聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
入口の一番近くに空いた場所にサリアが足を崩して座ったのを見届けると、この部屋の主であるフィニアはようやく口を開いた。
「とりあえず、おめでとう……かしら。さっきはフェイトしか言っていなかったから」
「ありがとう。フィニ」
淡々とそう告げたフィニアに満面の笑みで返したサリアに、エミスは顔を輝かせて尋ねてくる。
「それで、いったいどんな魔法の行使で使えるようになったの? 先生たちも驚いたのなら、特殊な行使の仕方なんでしょう?!」
「エミス、急かすものじゃないよ」
嗜めるフェイトだが、エミスが落ち着かないのを見ると、視線をこちらへ向けてきた。どうやら一度見せなければ落ち着かないと判断したようだ。
サリアも、口で説明するよりは見せたほうが早いと思い、ネックレスにはめ込まれた媒介を右手で包み込み、左の掌を広げてすぅっと息を吸った。
「―――フィア リー トゥ レィ ツェ ……」
掌に集まった小さな光の玉が、ぼんやりとサリアの掌の上で中空に漂い始める。思わず息を呑む一同に、サリアはどこか探るような視線で光の玉を消して様子を伺った。
「とりあえず、おめでとう……かしら。さっきはフェイトしか言っていなかったから」
「ありがとう。フィニ」
淡々とそう告げたフィニアに満面の笑みで返したサリアに、エミスは顔を輝かせて尋ねてくる。
「それで、いったいどんな魔法の行使で使えるようになったの? 先生たちも驚いたのなら、特殊な行使の仕方なんでしょう?!」
「エミス、急かすものじゃないよ」
嗜めるフェイトだが、エミスが落ち着かないのを見ると、視線をこちらへ向けてきた。どうやら一度見せなければ落ち着かないと判断したようだ。
サリアも、口で説明するよりは見せたほうが早いと思い、ネックレスにはめ込まれた媒介を右手で包み込み、左の掌を広げてすぅっと息を吸った。
「―――フィア リー トゥ レィ ツェ ……」
掌に集まった小さな光の玉が、ぼんやりとサリアの掌の上で中空に漂い始める。思わず息を呑む一同に、サリアはどこか探るような視線で光の玉を消して様子を伺った。