聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
 副学長をはじめとした教師たちは歯噛みをして黙りこくるしかできないが、それでも目だけはぎらぎらとゼフロスをねめつける。


 それでもティリー校長の思想『意欲あるものには親身に接しよ』を体現するとまで言われるゼフロスがいるからこその学院であり、彼を追い落とすのはそれなりのリスクを払うということにほかならない。


 結論を言えば、職を解くことも容易ではない厄介な存在―――それが彼の思想に反対する教師たちが彼に持つ強烈な印象である。


「それで? この議論は凍結してもらえますか?」


 にっこりと五六匹はいるであろう猫をそのへんで遊ばせて、素を惜しげもなく出しているゼフロスに、副学長含む推進派はついに折れた。


「………様子を見る期間を設ける程度なら、構わないだろう」


 ぎり、と歯軋りしたい思いを堪え、かなりの譲歩をした発言に、ゼフロスはまだ若干不満げだったものの、ようやくそれでいいでしょうと話を打ち切ったのである―――…。


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