聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
「だったらお前はどう思うんだよ。愛娘がどっかの施設でモルモットにされるかもしれない状況に陥ったら」
「子など作れませんのでよく分かりませんが、少なくともそういった輩は黙って殺すに限ります」
「あぁそりゃいい考えだ。後腐れなくていい」
大口を開けて笑うゼフロスに、薄く微笑するリアン。―――性格はおおらかで俺様な者と、生真面目で神経質なところがある者で正反対。だというのに、肝心なところでは、やはり似た者主従である。
「それにしても、我が主は接する者に応じて態度が違いますね。努力をすれば宰相も夢ではなさそうですよ」
「そんな窮屈なもんになる気は毛頭ねぇよ」
軽口を叩けば、嫌そうな顔を隠しもしないで返答してきたゼフロスに、リアンは笑う。
娘の前では溺愛ぶりが果てしない親馬鹿。理事長として教師たちの前に立つときは、異論を唱える者たちを有無も言わせず黙らせる覇者。主従として慣れ親しんだ自分には、友達のような気さくな雰囲気を纏わせている。
時と場合によって使い分けできるようになった顔は、おそらく長年生きてきた賜物だろう。十余年前はもっと素直に自分の思っていることを言っていたはずだ。それを考えれば、きっと成長しているのだろう。
「子など作れませんのでよく分かりませんが、少なくともそういった輩は黙って殺すに限ります」
「あぁそりゃいい考えだ。後腐れなくていい」
大口を開けて笑うゼフロスに、薄く微笑するリアン。―――性格はおおらかで俺様な者と、生真面目で神経質なところがある者で正反対。だというのに、肝心なところでは、やはり似た者主従である。
「それにしても、我が主は接する者に応じて態度が違いますね。努力をすれば宰相も夢ではなさそうですよ」
「そんな窮屈なもんになる気は毛頭ねぇよ」
軽口を叩けば、嫌そうな顔を隠しもしないで返答してきたゼフロスに、リアンは笑う。
娘の前では溺愛ぶりが果てしない親馬鹿。理事長として教師たちの前に立つときは、異論を唱える者たちを有無も言わせず黙らせる覇者。主従として慣れ親しんだ自分には、友達のような気さくな雰囲気を纏わせている。
時と場合によって使い分けできるようになった顔は、おそらく長年生きてきた賜物だろう。十余年前はもっと素直に自分の思っていることを言っていたはずだ。それを考えれば、きっと成長しているのだろう。