聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
「……いきなり、どうした?」
数秒の逡巡の後、混乱がまだ続いているのか、語彙の乏しい台詞が口から溢れる。しかしそこに込めた概ねの意味は伝わったのか、サリアは視線をさまよわせた後、静かに切り出した。
「………ありがとうって、言葉だけじゃ伝わらないと思ったから」
溢れてくる感謝の気持ちを、言葉だけでは伝えきれないと思ったから、思わず体が動いてしまったのだ。
そう言ったサリアに、アルジスは笑う。
「………素直に伝えようとするのはいいが、出来ればそういった感謝の示し方は避けてくれ」
先程のアルジスの動揺した姿を思い起こしたのか、サリアは頷く。
「そうよね。親しい人でも分別はつけなきゃいけないのに、判断が出来ていなかったわ。………ごめんなさい」
「……いや、それは別にいいんだが…」
あっさりと謝罪してきたサリアに、困惑しつつもアルジスは返答する。
「もう二度としないわ」
そう言われ、頷いたアルジスだったが、心のどこかでそれを残念に思っている自分がいることに気づいて、何を考えているのかと酷く自己嫌悪に陥った―――…。
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数秒の逡巡の後、混乱がまだ続いているのか、語彙の乏しい台詞が口から溢れる。しかしそこに込めた概ねの意味は伝わったのか、サリアは視線をさまよわせた後、静かに切り出した。
「………ありがとうって、言葉だけじゃ伝わらないと思ったから」
溢れてくる感謝の気持ちを、言葉だけでは伝えきれないと思ったから、思わず体が動いてしまったのだ。
そう言ったサリアに、アルジスは笑う。
「………素直に伝えようとするのはいいが、出来ればそういった感謝の示し方は避けてくれ」
先程のアルジスの動揺した姿を思い起こしたのか、サリアは頷く。
「そうよね。親しい人でも分別はつけなきゃいけないのに、判断が出来ていなかったわ。………ごめんなさい」
「……いや、それは別にいいんだが…」
あっさりと謝罪してきたサリアに、困惑しつつもアルジスは返答する。
「もう二度としないわ」
そう言われ、頷いたアルジスだったが、心のどこかでそれを残念に思っている自分がいることに気づいて、何を考えているのかと酷く自己嫌悪に陥った―――…。
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