聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
第三楽章
学年昇格試験まで、五日に迫った。
セカンドへの昇格に向けて、四年間蓄え続けた知識の復習を休憩中に行いながら、魔法の訓練を続けるサリアの様子はひたむきで、彼女の特殊な魔法公使を見て、イカサマだなどと仄めかす生徒たちの噂に耳を貸しもしなかった。
まあ、もし耳を貸していてもきっと彼女がそれを聞きとどめる前に自分がなんとしてでも耳に入れないように動いただろうけれど、とフィニアは思いながら廊下を歩く。
しかし、ふと遠くから響いてきた言葉に足を止め、向かっていた方向を変えてフィニアは声が聞こえる方向へと進み始めた。
しばらくして。
「……あんな魔法の使い方が実際あるわけねぇもん。あれ、絶対カラクリあるって!」
「だよなぁ。あれがカラクリじゃなかったら、今までどうしてあんな魔法使いがいなかったって話になるし」
息を潜めて彼らが立ち話を続ける廊下から自分の姿が見えないよう角で立ち止まりながらも、耳だけは彼らの言葉を聞き漏らさないように研ぎ澄まされていく。
セカンドへの昇格に向けて、四年間蓄え続けた知識の復習を休憩中に行いながら、魔法の訓練を続けるサリアの様子はひたむきで、彼女の特殊な魔法公使を見て、イカサマだなどと仄めかす生徒たちの噂に耳を貸しもしなかった。
まあ、もし耳を貸していてもきっと彼女がそれを聞きとどめる前に自分がなんとしてでも耳に入れないように動いただろうけれど、とフィニアは思いながら廊下を歩く。
しかし、ふと遠くから響いてきた言葉に足を止め、向かっていた方向を変えてフィニアは声が聞こえる方向へと進み始めた。
しばらくして。
「……あんな魔法の使い方が実際あるわけねぇもん。あれ、絶対カラクリあるって!」
「だよなぁ。あれがカラクリじゃなかったら、今までどうしてあんな魔法使いがいなかったって話になるし」
息を潜めて彼らが立ち話を続ける廊下から自分の姿が見えないよう角で立ち止まりながらも、耳だけは彼らの言葉を聞き漏らさないように研ぎ澄まされていく。