聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
「………どうして、現れたんだ」


 ―――俺の前に、サリア、君は。


「………どうして、好きになったりしたんだ……っ!」


 誰かを特別に思えるというのは、意識してできることではないとわかっているけれど、今は自分の心の揺れ動きを恨めしく思わずには居られない。


 どうにも出来ない想いを、伝えることは難しい。


 君を。………死なせてしまうかもしれない運命を持つ俺は。


「………言えるはずがないんだ」


 君が好きだと。―――愛している、と。


「馬鹿だ、俺……」


 偶然出会った彼女に、此処まで依存している。
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