聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
「………彼は、何らかの偶然によりサリアと出会い、おそらく個別に与えられるサリアの私室に息を潜めている、と思います」
「………そうか」
ならば、サリアに知識を与えたのは―――。
「………余計なことをしてくれたな」
「………僕の大切なひとをそんなふうに貶さないで頂けますか?」
「言わずにいられるか。………っくそ」
ゼフロスは顔を上げ、座る自分を見下ろす青年を真っ向からねめつける。
「―――――守りきれるか」
何を、という主語のない言葉に、青年は淡く微笑んだ。
「……愚問ですね。守りきるために、僕は此処にとどまり続けている。我が一族が抱える占星術師(ウァテス)に占わせた未来にたどり着くように、事情を話してあなたを味方につけ、多くの知識を得るために本を読み漁った。―――結果、あなたにとって一番なってほしくなった結果は起きてしまったみたいですが」
「………そうだな」
ゼフロスは嘆息し、肘掛け椅子に深く体をあずける。その顔には、やや疲れが見えた。
「………そうか」
ならば、サリアに知識を与えたのは―――。
「………余計なことをしてくれたな」
「………僕の大切なひとをそんなふうに貶さないで頂けますか?」
「言わずにいられるか。………っくそ」
ゼフロスは顔を上げ、座る自分を見下ろす青年を真っ向からねめつける。
「―――――守りきれるか」
何を、という主語のない言葉に、青年は淡く微笑んだ。
「……愚問ですね。守りきるために、僕は此処にとどまり続けている。我が一族が抱える占星術師(ウァテス)に占わせた未来にたどり着くように、事情を話してあなたを味方につけ、多くの知識を得るために本を読み漁った。―――結果、あなたにとって一番なってほしくなった結果は起きてしまったみたいですが」
「………そうだな」
ゼフロスは嘆息し、肘掛け椅子に深く体をあずける。その顔には、やや疲れが見えた。