わたしの好きな人は先生です


そんな事を考えていると、ちょうど廊下に中野が見えた。


「すいません。尾瀬先生、ちょっと行きます」


勢いづいて立ち上がった拍子に、椅子を倒した挙げ句、


弾みで棚の本が、バサバサと落ちた。


「うわっ、すいません!」



「吉川先生、私がやっておきますから。急ぎなんでしょ?」


「いえ、片付けます」


仕方ない。


中野は、また別の機会にしよう。


そう思っていたら、中野が呆れた顔で、こっちを見ていた。




< 53 / 212 >

この作品をシェア

pagetop