ただ笑顔の為だけに
それはずっと気にかかっていたことだった。

高校に入学して、彼と知り合い、つるむようになってから、いやその前から。

彼は多くの女性に告白されるのに、誰かと付き合ったという話が一切出てこないのだった。

女性と、というより、誰かと一緒にいること自体があまりなかった。

勉強もできる、運動もできる。

ルックスも整っているし、話だって面白い。

人気者の条件は揃っているのに、彼が俺以外の誰かと話している風景を、俺はほとんど見たためしがない。
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