ただ笑顔の為だけに
「だるい」


返って来た答えは、簡潔なもので、彼の人柄をよく表していた。

つまりはそういうことだった。

俺が欲しくても持てないものを沢山持ちながら、彼はそれを生かそうとは思っていない。


ずるい、と思う。


それだけの力が、魅力があるというのに。

そう思うのは、嫉妬なのだろうか。

俺もこんな風になりたいと、なりたかったのにと、その才能が目の前にあるという歯痒さが。

俺を、苛立たせるのだろうか。
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