ただ笑顔の為だけに
「何が? 別に羨ましがられるようなこと何もないぞ俺。金もないし」


このハンバーガーを食べてしまえばもう今月の外食は控えないとならない。

そんなことを思い出し、更に憂鬱になる。

具体的にはハンバーガーが四個分の所持金。

いくらなんでも金なさすぎだろ、俺。

ふと彼の方を見やると、珍しく少し何かを考えるように黙り込んでいる。

最後のハンバーガーを名残惜しくも口に含んだ辺りで、彼が口を開いた。


「いつも笑ってるし、楽しそうだ。それが羨ましい。誰かと過ごすことが苦痛じゃないと、それを表情に出せることが羨ましい」
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