指輪と彼女と幸せの空
衝撃的に足が動いた。


彼女を追って外に出ると、彼女は出口のすぐ傍で友達に笑いかけていた。


「あのっ!」


キツい口調で話し掛ける私に、彼女はゆっくりと振り向く。


そして私を視界に入れると、慌てたようにお辞儀をした。


その緩やかな動きは、まさにお嬢様。


すべての動きが上品で、それがまた私の癇に障った。


「梓さん、ですよね?」


「はい。えと、香弥さんですよね。」


相変わらずキツい口調の私に、彼女は穏やかな表情で応える。


それにさらにイライラが募り、とうとう爆発してしまった。


「お兄ちゃんが死んだのに、梓さんは全然悲しくないんですね!お兄ちゃんはあんなにあなたを大事にしてたのに…!」
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