指輪と彼女と幸せの空
ぽろぽろと涙が溢れだしてきた。


お兄ちゃんが死んでしまったと思うと、悲しくて涙が止まらない。


お兄ちゃんに2度と会えないのだと思うと、胸が痛くて張り裂けそうだ。


それなのに、この人はどうして涙1つ見せないのだろう?


どうして私だけ、こんなに悲しいのだろう?


涙と同時に、そんな行き場のない悲しみが怒りとなって零れ落ちていく。


ぽろぽろと、一粒零れ落ちる度にまた1つ、彼女を傷つける言葉が口から零れた。


止めなきゃと思うのに止まらなくて


「…かーくんが言ったんです。」


彼女のその声を聞いて、やっとそれは止まった。
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