スイーツなカレシ
その頃の俺ときたら正直、かなり思い上がったバカ者だった。
親父はケーキ屋で、俺にとってケーキに囲まれてるのは日常。
兄貴なんかも製菓学校を卒業して親父の弟子として店を手伝ってたし、俺も当たり前みたいにデカクなったらケーキ職人になると思ってた。
ヒマを見つけちゃケーキ作ってたし、かなり自分に自信があった。
なのに親父にも兄貴にも認めてもらえなくて、
ムカついたから、俺は内緒で自分のケーキを売ることにした。
誰かが買ってくれたら・・・・俺のケーキを認めてくれたら。
俺を扱き下ろした親父や兄貴の鼻を明かしてやれんだろ。
ほくそ笑むような気持ちで、物陰に隠れて店の様子を伺っていた。