スイーツなカレシ
黒瀬クンに向けられていた赤松先輩の目が険しさを滲ませた。
って、まさか、殴る!?
やだぁーっ、怖いっ。
ぶんっ
と風を切って振り出された腕に、怖くなってぎゅっと目を瞑った。
だけど、
拳は黒瀬クンに当たることなく―――
「・・・・へ・・?」
黒瀬クンの後ろにいた私をがしっと掴んだ。
強い力で引かれて、よろけて顔を押し付けたトコロは厚い胸板。
ふわわわわっ・・・密着しすぎーっ。
いっきに頭のてっぺんまで逆上せあがって、目を白黒させる私。
黒瀬クンがむっと眉を顰める。
それに先輩は挑発的に笑った。
「カレシが自分の女呼び付けて悪ぃかよ。」
カレシ・・・お、オンナって!
・・・昨日のコトやっぱり冗談じゃないんだ???
顔を真っ赤にして茫然としているうちに、先輩に引き摺られるようにして歩きだす。
安寧の地が遠ざかるぅ~・・・。
というかもはや安寧の地は後片もなく滅亡した・・・
この人の所為でねっ!