スイーツなカレシ


俺は、スイーツ作りがスキなんだってことをずっと仲間に黙っていた。


武闘派バリバリのこの俺が、ケーキ作るとか、

・・・・明らかミスマッチだろ。


『強くて無骨なオトコ』を信じて、慕って、ついて来てくれる仲間に対して裏切ってるような気がして。


せめて憧れを壊さんようにと勤めていた。






だけど、そんなん単なる逃げ口上だよな。


結局、ビビってただけなんだ。





奴等の憧れを壊すのを心配してたんじゃなくて、受け入れてもらえないのが怖かった。





喧嘩もキライじゃねーし、奴等とつるむのを楽しいと思ってる俺も嘘じゃない。




けど、




ケーキ作んの好きな俺も本当なんだ。




別に公言するようなことじゃないのかもしんねぇ。


けど。


黙ってる理由の中に少しでも疚しさがあるんだとしたら、やっぱ言うべきだろ。





もう、逃げも隠れもしねぇよ。


ごまかす気はねぇ。


俺はケーキ作りが好きだって、誰に対しても堂々と言える。




そう思わせてくれたのは、間違いなく今隣にある存在だ。
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