傍においで
話し掛ける事も無く、ただ観察を続ける日々。
それに何か意味があるわけでも無いが、見える以上は自分と違う存在を観察する事に飽きはしなかった。

「芝さぁ、今日暇?」

何時ものように、今日は学校の中庭に居る彼女を観察していると、クラスメートの野沢が声を掛けて来る。
野沢は何時もくだらない『遊び』を考え着いては、周囲を意図して巻き込む。
そういう時の野沢は、必ず何やら嫌に爽やかな笑みを浮かべている。
その例の笑みを浮かべている野沢に、俺は思わず苦笑した。

「今日は何やらかす気?」

帰宅部で、さほど勉強熱心でも無いので、諦めて内容を聞いてみる。
すると、野沢は眼鏡を中指で直すと、ニヤリと笑った。

「何、せっかく夏になったんだし、ちょっとした肝試しでもやろうかと思っただけだ。」

意外と普通な内容は、余計に俺を不安にさせた。
何やら嫌な予感がする。
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