彼×私×彼女の事情
リビングにはご飯まで用意されていた。
「早く早く。座って座って」
ソファーの前にあるテーブルにサラダやフルーツ。パスタが並べられていた。
「食欲ないと思うけどちゃんと食べて。冷製パスタだけど生姜たっぷりで体を冷やしすぎないから安心。ねっ、食べて」
女の私よりしっかりしている。
俊くんの横に座った。
起きたてにすぐごはん……私のスタイルではないが俊くんの優しさに答えたい。
笑顔で渡してくる俊からお皿を受け取り、パスタを食べてみた。
「おいしい」
不思議と箸が止まらない。
「しんどくても食べれる魔法のレシピなんだ。母さんが教えてもらってはじめてつくった」
……。
黙ってしまった。よかれとやってくれている気持ちが十分に伝わっているのに。
「ありがとう。お義母さんにも言ってね。ちゃんとお礼」
「うん」
笑顔が眩しい。何も無かったように接してくれるが心が痛い。ちゃんと話さないといけない。