彼×私×彼女の事情
会場に着くとすぐにパーティは始まった。


教授の挨拶、乾杯とお約束の流れがはじまる。


「あっ、あそこに恵子がいるよ」



サキが小声で言う。


恵子も気がついたようで小さく手を振る姿に私たちも小さく手を振って返した。



恵子も大学の同期。ゼミが同じだった。恵子は根っからのアイドル肌でみんなの人気者。そして天然。私たちは卒業まで馴染めきれずにた苦手タイプである。



「恵子の横に居る人どっかで見たことない？」


　サキが言うことに私も少し思っていた。どっかで……。年齢の為か思い出せない。



「年をとると記憶力も衰えるね」


　
私は笑いながら言った。




「思い出した。心臓外科医の若きエース！名前なんだっけ？」



っとサキが話していると恵子が近寄ってきた。噂の男性を連れて。


「久しぶり。元気だった？」


「うん。元気。恵子も元気そうね。」



１００点の笑顔だ。


私も何度も練習したがこの笑顔が出せない。羨ましい特技だ。


「二人に会えてよかった。紹介するね新藤隆太さん。心臓外科医としてたまにテレビや雑誌にでてるから見たことあるかも知れないけど。」



「やっぱりそうなんだ。今、噂してたんだ。」



サキが驚いたように言う。

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