彼×私×彼女の事情
クローゼットになおし終わりリビングに戻るとキッチンでお義母さんが何かしている。
「どうかしましたか?」
「ここ、空いてるから入れさせてね」
食器やフライパンなどをシンク下に並べていた。そっから持参……。住み込むつもり……。恐るべしお義母さん。
「どうぞ」
大きなスーツケースの意味がよく解った。まだまだ出てきそうだ。
「今夜はアクアパッツァ?」
「そうなんです。でも私あんまり上手じゃないから不安だったんです。お義母さんが来てくださって良かった。お義母さんの味教えてください」
「教えれるほどのものじゃないけど……インターネットのレシピよりは美味しいわぁ」
といいながらお義母さんはニコニコ笑顔。さらりと嫌みを言われるのも慣れた。
白鳥の作り方を教えて貰った時に感じたこと、お義母は人に何かを教えるのが大好きだ。間違いない。
2、3日我慢すれば明るい未来。その為に貴重な休日を渡すなら仕方がないか。頑張らないと!俊くんとの明るい未来の為に今日を諦めることにした。
機嫌よくしないと。
「白ワインも買ったんで飲みましょうね。今晩が楽しみですね」
よし!心の中でガッツポーズした。順調順調。