彼×私×彼女の事情
「お義母さん、大学の同級生で親友のサキです」


「はじめまして新垣サキといいます。来てること知らなくてお邪魔してしまって申し訳ありません」


出た営業スマイル。さすがMR。


「はじめまして。俊介の母です。美樹さんから話、聞いてるかしら。私も突然きたので気にしないで」

なぜか上から目線。
サキは引きずることなく爽やかな笑顔。職人技。


「海外出張からの帰りで急にお休みを頂いたので伺わせて頂いて。これ、お口に合うか解りませんが良かったら皆さんでどうぞ」


「ありがとう」


「気を使わせたわねぇ。日本食久しぶりじゃない?良かったら食べていって。ねぇ、美樹さん」


「えっ、も、もちろんです。美味しいよ。甘えて行って」


「いや、そんな。急に来て図々しいです」


「大丈夫よ。美樹さんの親友なら大歓迎。美樹さん、スーパーに買い物行ってくるわぁ。来る途中にチェックしておいてよかった」


「いや、ホントに」

(バシッ)


お義母さんにかぶるように断りを入れるサキの背中を一発、叩いた。


「遠慮しないで。お義母さん私も行きましょうか?」

「美樹さんはサキさんのお相手して。あら、お茶も出さずにごめんなさい。美樹さん、お願い」


「はい」


「甘えさせて貰います」


そしてお義母さんは笑顔で鼻歌を歌いながら買い物に出かけた。
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