彼×私×彼女の事情

私は玄関収納棚へ向かい2本の棒を取り出した。

キッチンのカウンターのねじをはずし天伴部分を広げ2本の棒を付ける。


ちょっと小さ目のテーブルが出来上がり。


いつか家族が出来たら美味しいご飯をたくさん作ってここで食べるのがささやかな私の夢だった。


お義母さん……家族……設定がちょっと違うがまいか。


「あら、立派なもんね」

っとお義母さんが感心している。

「ソファーのテーブルだと小さすぎるので。ここもそんなには大きくはないですけど」


一応テーブルクロスをかけて演出。アイボリーのテーブルクロス。ホテルにあるやつに憧れて買った。

「そんな仕掛けかくしてたんだ」

っといいながら料理をサキが運んでくる。

「面白いでしょ」

次々、料理が出てくる。ちょっと夢は変わったが悪くわない。


お義母さんは予定していたアクアパッツアやチキンと根菜たっぷりの煮物、肉まきおにぎり、シーフードサラダに和風の生春巻を作ってくれた。


私は俊と飲む予定だったスパークリングワインを用意した。

「サキ、あけて」

「任せて」

サキの実家ではワインやシャンパンなどを飲むのが普通だったらしい。さすがお金持ち。上手にあけることができるとお小遣いや好きなものを買ってもらえたらしい。自然と上手くなったらしいが一般人のお手伝いとは次元が違う。


(ポン)


グラスに注いでくれた。


「お義母さん、早く座ってください」


「俊くん、またないと」


「遅いみたいですよ。そんなふうなこと言ってましたから」

ちょっと嘘だがサキもいるのに待たせるわけにはいかない。

「今日は3人で楽しみましょう。女子会です」


「そうですよ」


サキと私に言われ、まんざらでもない表情で


「2人がそこまで言うなら」

お義母さんはなっとくしてくれた。

このまま機嫌をよくして1日でも早く帰ってくれますように。


心の中で祈りながら珍しい3人の女子会がはじまった。
< 120 / 171 >

この作品をシェア

pagetop