彼×私×彼女の事情
会場はホテル。併設されている喫茶店で話すことになった。

 

「本当に驚いた。どうしてここに?」


私は素朴な疑問をぶつけた。


「僕、医療関係の研究の仕事をしているんです。本当は僕の上司が呼ばれてたんですがこういうの苦手らしくて……代わりに言って来いって。僕も苦手なんで嫌だったんですが来て良かった。」


来てよかった……って私に会えたから?


本気で言っているのかな?


笑顔にもキュンとしちゃう。


私……顔が熱い。


またニヤケしまう。


いや、待て!


やっぱりこんなドラマみたいな展開おかし。失恋してすぐにしかもカッコいい男と出会い恋が始まる。そんな甘い話が簡単に無いことぐらい30年以上生きてきてよく知ってる。真に受けるのはやめよう。健治みたいに猪突猛進のアホにはなりたくない。ここは様子を見ながらこの時間を楽しもう。


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