彼×私×彼女の事情
「んで、楽しかった?」

サキの言葉に思い出し顔がにやけてしまう。

「なにニタニタしてんの。ちゃんと話なさいよ。」


「うれいいとか会いたかったとか言ってくれるの。見たでしょ、あの美少年がいうの~話の内容よりそっちが気になって。」

中学生に戻ったようで楽しかった。


「遊びなれてるのかなぁ?女の子が喜ぶ言葉をよく知ってるというか、行動も」


 サキの言葉に浮かれていた気持ちにハッとした。今、改めて思い返すと好意があるとか口説いているというより、お世辞を言われているような感じに思えていた。そう考えるのが必然的だ。


 「でもね、神宮寺と話してるとき彼の話になったの。すごい彼のこと褒めてた。研究者としてはまだはじまったばかりだけど、大学時代に書いた論文が賞を取ったり、若いのに周りからの信頼もあって上にも下にもすかれるタイプらいいよ。そのうちすぐに教授になるって」


サキは神宮寺から教えて貰った情報を私に話くれた。あの状況で情報収集までしてくれたことには感謝。そしてこの聞き出し上手に改めて尊敬を覚えた。


「後、神宮寺が言うには何においても真面目らしいよ。仕事も恋愛も。そこが気に入って娘と結婚させようとしたけど真面目すぎてダメだったらしい」


将来有望、しかも真面目で美少年。あんな厳しい失恋はこの新たな恋への演出?恋に落ちるスピードが速すぎる。私はやっぱり単細胞だ。


「じゃ、彼女とか居ないってこと?」


「そうは言ってなかったけど可能性は高いね」

「ヨッシャ!」

思わずガッツポーズをしてしまう。


数日前が嘘みたいに楽しかった。完全に恋がスタートした私は嬉しさに浮き足立っていた。今度は転ばないようにしないと。


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