彼×私×彼女の事情
健治の去っていく姿を見ることはできなかった。


涙も止まらない。


こんなバカな奴の為に涙を流すなんて悔しい。


一発ぐらい殴れたら少しは気がまぎれたかな?


でも全身に力が入らない。



数歩先にあるベンチに腰を下ろすので精一杯だった。


この公園は特別な公園。


二人が初めてデートした場所。

ケンカした場所。

その後、仲直りした幸せな場所。

今は二股かけられ上に最悪な形で失恋した場所。

二度と来たくない場所。


この場所を選んだ健治。待ち合わせに便利な場所としてしか認識してなかったんだろう。ここを特別扱いしていたのは私だけ。


どうして私はいつもこうなってしまうんだろう。


どうして私ばかり……。


そんな悲観的な感情が溢れ出てくる。


それ以上に言葉に出来ない感情が涙で次々と現れる。


公園のベンチで泣き崩れている私。その姿は、行きかう人の中傷の的となった。振り返り小声で噂しているのが解る。こんな状況にいても笑いものになっていることが嫌だった。


みんな他人の不幸が大好きだ。




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