彼×私×彼女の事情
コーヒーが運ばれてきた。
ウェイターの人が目に入らないのかな?真面目な顔をした俊くんが真っ直ぐ私を見つめてる。吸い寄せられるような瞳に動きが止まってしまった。
ウェイターの人が去ると同時に俊くんの口が開いた。
「気持ち悪とか思われるかもしれないけど、これで最後にしたくないので言います。」
えっ!
何?心臓の鼓動が速くなる。鼓動の音がどんどん大きくなる。
「僕と付き合ってください。あの時守りたいと思ったんです。」
えーーー!びっくりした。
あの時の私を見て守りたくなったなんて言ってくれる人が自分に現れるなんて思わなかった。
ドッキリ?落とせるかどうか懸けてる?yesって答えたたら周りから俊くんの友達が出てきて笑われる?バカにされたりする?
「ありがとう」
私は驚いて呟くように答えた。
「それって付き合って貰えるってことですか?」
私はその時、できる限りの笑顔で「うん」頷いた。
「よし」
とガッツポーズする俊くんが愛しくて仕方なかった。
騙されててもいいやっと思った。私は短期間で俊くんの魔法にかかってしまったのだろう。もう二度と味わうことが出来ない幸せな時間をそれで買ったと思えば。