彼×私×彼女の事情
笑いものになり続けるのは嫌だった。


その場から逃げ出したい。


しかし涙も止まらないし体に力も入らない。


すると私の隣に男性が座ってきた。


どんな人かは涙で見えていない。


しかし雰囲気で男性だということだけ解かった。


「もう少しよってもいい？」



痴漢！！


直感で感じた。


こんなときに……。


叫ぶどころかその場を立ち去ることもできない。


私の返事を待たずに寄ってきた。



最悪……。


っと思った瞬間


「バサっ」っと音がして私に影が出来た。


彼は私に日傘をさし行きかう人から私を見えないようにしてくれていた。


そして肩に手を回すようにしているが実際はベンチに置いているだけで体に触れてもいない。



音楽プレイヤーからイヤホンを外し少し大きめの音量。


どこかで……。


あっ、そうだ。


CMだぁ。


ビートルズの曲だ。



隣の彼は日傘で私を見えないようにしてくれた。そして、私の涙の声を音楽で消してくれた。他人から見ればイチャついている迷惑カップルにしか見えない。


そんなバカップルには興味がない。


みんな正直で行き交う人達は立ち止まったり噂をしなくなっていた。


他人は人の幸せに興味が無い。
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